小さい頃からモノづくりが好きだった私がフラワーデザイン教室に通っていた頃、イギリスやアメリカ、オランダなど海外のデザインが盛んに取り上げられる中で、私はヨーロッパの花、特に「ドイツのデザイン」に強い興味を引かれました。 
その頃は日本の先生方が本格的にドイツのデザインを取り入れようとしていた時期で、多くのカタカナ表記によるドイツの花の本やテキスト、デザインの写真が飛び交っていました。 
遠い国の、自分にはよく理解できない説明によるドイツのデザインの写真を見ながら、「面白そう」と感じた私は勢いと若さも相まってドイツに出かけたのでした。その時、私は27歳。 
実際に目にした、経験したドイツでの花の学習やその生活は私が思っていた以上に「面白い」もので、 
<花のデザインを「美術」として捉えた造形学として学べること> 
これが私を魅了したドイツの花の「面白さ」の正体でした。  
材料について学び、その構成法を学ぶ。  作るものの完成形は、自分で導き出すもので、見本はない。  
材料(私たちの場合は植物)についての探究心や愛着がなければ、それを使って何かを作り出すことは無意味であること。 これは私が日本では到底辿り着けなかったモノづくりの基本でした。

あー、いい事を知ったなーと思った私は、これを独り占めにしているのはもったいない、是非多くの日本の皆さんに私が経験してきた事を伝えたい。マイスター学校を卒業する頃にはそう考えるようになりました。 
デザインの基本的な考え方さえ理解していれば、これでいいのかな?という不確かな感覚で花を作らなくて済むこと。そして自分の造形材料<植物>について考えることがどんなに楽しいことであるかを伝えたい。そんな思いで、講師の仕事に就いています。 
マイスター学校で、「花は人に貢献し、文化を創造するもの」と教わりました。 
皆さんがhashiguchi arrangementsのレッスンを受講されることで、普段の生活の中で花を活ける、花を飾ることで見る人を楽しませることに対して、自由な感性と質の高い芸術性を持っていただきたい。それは難しいことではなく、基礎的な理論や実技を習得すれば、あとはそれぞれ自由な発想で進んでいただきたいと願っています。